エリザベスドール・最終回-2
この後…
ルークは、緊張の思いで自宅に入って行った。
家の中は勿論、静か。
しかし何だか、異様な空気に包まれているような感じを受ける。
ドキドキしながら、部屋の中をソッと覗いてみる。
すると…
いるいる。
エリザベスだ。
ベッドの傍で木製チェアに腰掛けたまま、窓の方を向いている。
ルークは隣のキッチンからコッソリと、無線機の非常キーを押した。
しばらくして、応答のバイブが振動した。
画面チェックを済ませてから、上着のポケットに入れる。
この時だ。
「ルーク、帰って来たのね?」
「え?」
エリザベスの声にルークは声を上げた。
いつの間にエリザベスが自分の傍に来たのだろうか?
ルークはもう、大慌てである。
「た、ただいま!」
「ただいまじゃ、ないでしょう? どこに行ってたの? 随分と遅かったじゃなーい」
エリザベスは呆れ顔。
「友達と話し込んで、遅くなっちゃった!」
「ふーん」
エリザベスは腕組みしたまま仁王立ち。
まるで、女房気取りのようだ。
「君はいつ、帰って来たんだ?」
「何ィ、言ってるのよ? 私はどこへも行かず、ずっとお留守番していたのよ」
留守番…?
4人の人間に危害を加えたクセに、ウソを言うのか?
怒りが込み上げて来るルーク。