Y先生の乙女な不安-1
『由希ちゃんおはよん♪
昨日はちゃんと俺の夢見たー?
俺の方はもー由希ちゃん登場しまくりで。
今日もエロ可愛い由希ちゃんに会えるの楽しみにしてんね(*^3^*)』
重たい瞼を擦りながら、私は携帯電話のボタンを押す。
メールの送信者は、もちろん"倉本ハル"。
毎朝送られてくるモーニングコールならぬモーニングメールを読み、いつもながら恥ずかしくなった。
…何それっ。
別にエロ可愛いくないし!
唯一の救いは、赤面している私の状態をハルに見られていないこと。
いつまで経ってもハルの軽口に全く慣れず、恥ずかしさで黙り込んでしまう私のことをハルはよく知っているから。
この顔を見られたらなんて言われるか…。
私は携帯電話を片手に、枕に顔を埋めた。
正直言って、マメに送られてくる朝のメールは…嫌じゃない。
むしろ、すごく嬉しい。
だけど、だからこそ、なんて返事をして良いのか分からなくなる。
私はハルが好きだけれど、ハルのように思いを口に出して伝えることが苦手だ。
どうしよう…。
『おはようハル♪
残念だけどハルは出てこなかったよ(T_T)
でもハルの夢に登場出来てなんだか嬉しい!
私も今日はハルのことたくさん考えながら寝てみるね^^*』
寝ぼけた頭でそう打って、すぐに消去した。
こんなの送れるんだったら、苦労しない。
私は深くため息をつく。
そして、徐々にはっきりとしてきた頭に最初に浮かんだ物は…先週末の小テストのハルの答案用紙。
ばっと起き上がり、もう一度携帯電話を掴む。
『おはよう。
ハルの夢は見てないよ。
じゃあまた学校でね。』
そう打って送信ボタンを押した。
意図的にしたことだけれど、あまりにも素っ気ないメールを送ったことに多少の後悔を覚える。
…でも、ハルは今こんなことしてる場合じゃない。
私なんかの為に、大切な時間を使ってちゃダメなんだから。