エリザベスドール6-5
「キャサリンとサヨナラするなんて、まーだ早いんじゃないの?」
街を見下ろす小高い丘の上に建つ大きな屋敷。
キャサリンのクラスメートの1人…フレデリカ・アンドリューの邸宅。
丁度、学校帰りのスージー・アクロス、ヘレン・カプリス、ルナ・ライヤーたち友人が遊びに来ていた。
賑やかな4人が集まれば、お喋りに花が咲くのだが…
フレデリカの様子が変である。
ムスッとした表情でコーヒーを飲んでいるフレデリカ。
ヘレンは以前から気になる質問をしてみた。
「いったいどうしたのフレデリカ? ココんとこ、やけに不機嫌だけど」
「あら、ヘレンは何も知らないの?」
横から言ったのはスージーだ。
「エ?」
スージーに振り向いたヘレン。
「フレデリカはね、キャサリンの事で頭に来ているのよ」
「頭に来ている?」
「ずっと前から恋心を抱いているルーク・ハリーを、キャサリンに取られてしまったからよ」
「フレデリカって、ルークの事…好きだったの?」
ルナが説明する。
「今まで何回も、ルークに交際求めたらしいわよ。でも良い返事をもらった事は1度もなかったみたいね」
「あまり、相手にされなかった。そうだよねフレデリカ?」
スージーの質問にフレデリカはうなづく。
「うん、そうよ。こんな、ナイスバディの私を相手にしないなんて、信じられないわ」
「そう、それは悲劇ねェ」
同情するヘレンだが、ふと気になった。
「フレデリカは確か…
ディック・ブラウンと付き合ってるんじゃなかったの?」
ヘレンがこう言うと、フレデリカは口を開けた。
「付き合っているけど」
「なのにどうして、ルークと? まさか、浮気」
横から又、スージーが割り込む。
「ディックと別れたいんだよね?」
「ディックの事、嫌いなの?」
「あんなゴリラ男とはもう、うーんざり!」
益々、不機嫌な顔をするフレデリカ。
強欲で乱暴…
変態…
いつも喧しい…
命令口調で色々と言って来るディックはフレデリカにとって…
ハッキリ言って顔も見たくもない存在である。