エリザベスドール6-3
「それは、ダメだ」
「何故ですか?」
「君がモリス警部に話していた通り…
娘は人形に殺されそうになった。
実は…
娘は気を失う直前に私にこう言ったんだ。
あのエリザベスと名乗る化け物人形は…
ルークの恋人だ…ってね。
つまり娘は…
君と付き合っている理由で化け物人形の怒りを買い…
命を取られるハメになってしまったと言ってもイイ。
となるとだ…、
君がずっと娘と付き合うとなれば、人形も黙ってはないだろう」
「僕にどうしろと?」
「ハッキリ言おう。
娘との関係は…
無かった事にして欲しい」
「キャサリンと別れろって事ですか?」
「そうだ。折角、娘と付き合えたのに…非常に残念だけどね。私の要請に素直に従って欲しい」
ジョナサンとルーク、しばし…互いに見つめ合った。
少なからずショックを受けるルーク。
キャサリンと、別れなければならないとは…
頭の中が、真っ白になってしまうような気分である。
寂しさが込み上げて来た。
「じゃあ…
キャサリンに最後の別れをさせて下さい」
「ああ、構わないよ」
リビングに入って来たルーク。
キャサリンは座ったまま、ジッと目を閉じていた。
ルークはキャサリンに歩み寄ると、しゃがみ込んで相手の手を取った。
「気分はどう?」
「…」
勿論…
キャサリンは無表情・無反応である。