恋心に、イエス!-5
まさかおっけーだとは思わなかった私は呆然として、それきり言葉を続けられなくなってしまった。
そんな私を楽しそうに見ていたミヤせんせいがふわっと私の手をとる。そうして座ったまま私を見上げて、
「ね、これで僕はひなたに許してもらえる?」
「〜〜〜〜〜」
……かん、ぱい。
ミヤせんせいはうんともすんとも言えない私を柔らかな笑顔で見つめた。
「それじゃあまた放課後に、ね」
どうしたらあのひとを困らせることができるんだろう。
いっつも余裕の笑顔なあのひとを、必死にさせてみたい。
笑ってるミヤせんせいがすき。優しいところがすき。だけど、もっともっと色んな顔を見たい。もっともっと色んなミヤせんせいをすきになりたい。
私みたいな子どもじゃあ、ダメなのかな。
「あの、い、一宮先生……」
「なんでしょう」
「……読めないんですけど」
「目が悪いの?」
「じゃなくて……黒板の文字が全部英語なんですけど」
「だめ?」
「だめっていうか……現代文の授業ですよね?」
「現代文を英語で勉強したら一石二鳥かと思って。どう?」
「…………」
「…………」
「……えーっと……一宮先生?」
「なんでしょう」
「……見えないんですけど」
「目が悪いの?」
「じゃなくて、あの、文字の上に文字がのってて」