恋心に、イエス!-11
「ねえ」
『好きって言って?』
……私は拍子抜けしてしまった。
「そんなの、ワガママにならないよ」
「そうかな」
「そう、だよ……」
私の返事にほんの少し緩んだ口元に安心したけれど、その目はちっとも笑ってない。ミヤせんせいが言葉すくなに、けれど強くその言葉を私に願っているのだと、わかる。
……どうしてだろう、いつもいつも思っていることなのに、改めて口にするのは少し照れてしまう。
どきどきする。
「わたし、」
会って言葉をかわすほど、唇を合わせるほど、その笑顔に触れて、そうして重なっていく、
「私は、ミヤせんせいが……」
……『すき』の言葉はせんせいに食べられてしまった。
「っ!んぅ……」
「……ふ……っ……」
一瞬のできごと。
私とせんせいの間にあった距離はゼロになっていた。片手は私の腰を強く引き寄せていて、もう片手は頬に添えられ、優しく、けれど確かな力で私を仰向かせる。その上からおとされる深い口づけ。顔を傾けたミヤせんせいの唇はぴたりとはまって、そうして私の中へともぐりこんでくる柔らかくて温い舌。触れた私の舌にその温度が伝わって、痺れるような感覚を覚える。とろりと流れ込んでくるあまい液体を必死に飲み込んだ。飲みきれずに零れたそれが、互いのあごを伝っていく。
ちゅぷ、ちゅ、
水音はまるで耳の奥から響いてくるみたい。変なの。だけど、その音が、もっともっとって私を煽ってくる。
「ん……っ、せん、せ……ぁ」
「……ねえ、好きって言ってくれないの」
「ん、ふ……せんせ、す……んんんっ」
「……ふ」
息だけでせんせいが笑ったのだと分かった。それに抗議する暇もなく、口づけは繰り返される。