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『Summer Night's Dream』
【青春 恋愛小説】

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『Summer Night's Dream』その2-2

「陽介。晩飯はまだか?」


「ああ、今つくるよ。何がいい?」


冷蔵庫の中身を確認しながら、陽介はそう聞いた。
じいちゃんはまるでゼンマイで動く玩具みたいな動作で、一心不乱にちびちびとやっていた。
答えがないのは耳が遠いせいだろうと思い、そして今日の献立がレンジで解凍された簡単クッキングに決定された。


「頂きます」


適当に皿に盛って出してやると、じいちゃんは冷凍チャーハンの前で仰々しく手を合わせ始めた。深々とお辞儀をし祈りを捧げる。
別におかしな儀式が始まるのではない。厳しい戦時を乗り越えてきた年寄りは、食のありがたみを決して忘れないのだと言う。冷凍チャーハンにそこまでされると、さすがに引け目を感じるからよしてくれ。

皿を洗い終え、再び飲んだくれに戻ったじいちゃんの向かいで、陽介は自室から持ってきたノートパソコンを開いた。
水嶋から手渡されたメモリースティックを差し込み、パソコンを起動させる。


「何だそれは?」


案の定、絡んできたので陽介は手短に噛み砕いて説明してやった。
部活でやってる企画で、ゲリラ記事を作るのだと。


「最近の学校は難しいことやっとるな」


というか、こんな変な物作ってるのはウチの部くらいのもんだ。陽介はキーボードを叩きながら、


「でもここ数年はいいソフトもあるから、随分楽になったよ。紙面のテンプレートだってネットから拾ってくるだけだしね」


独り言のように言い画面上で点滅するカーソルに目をやった。じいちゃんは天ぷら?と首を傾げながら水でも飲んでいるかのような勢いで酒をあおった。
この調子なら、あと二十年は生き続けるだろう。


「そういやじいちゃんって、ウチの学校のOBだよね?」


「あん?それがどうした?」


「旧校舎ってその頃からあったって、前に言ってたよね」


じいちゃんは当惑顔で、


「前っていつの話だ」


「入学式の時だよ。父さんも母さんも忙しいからってじいちゃんが来てくれたでしょ?」


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