Lesson xxxU E-6
「神崎に何かすれば俺は絶対おまえを許さない」
俺の威圧的な言葉にも怯む事なく睨むのはいっそ天晴れと言うものだ。
「そんなにあの子が大事!?」
「ああ。俺にとってはな」
キリキリと吊り上がる眉と目が彩の怒りを表していた。
「このままじゃ平行線だな。ハッキリ言っておく。何度言われても俺が彩の元に戻る事はないし神崎と別れるつもりもない」
「征也…」
体が小刻みに震えてるのは怒りなのか哀しみなのか俺には判別がつかなかった。
だけどこれ以上話しても結果は変わらない。
「神崎。行くぞ」
神崎までこの場にいたとは思ってもいなかった彩は俺が神崎を呼んだ事にひどく驚いていた。
今までの一部始終を聞いていたであろう神崎はおずおずと奥から姿を現した。
神崎を見る彩の表情が驚きから憎しみを込めたものに変化する。
俺は彩の視線から神崎を庇うように間に立った。
傍まで来た神崎を彩がいる反対の方へやり先に部屋から出す。
俺達を一瞥もせず立ち尽くす彩の後ろ姿にチラッと視線を送って俺も部屋から出た。
少し資料室から離れた所で神崎が心配げにこちらを見ていた。
俺は少し微笑むと神崎に告げた。
「家で待っててくれるか?」
「うん」
「後でな」
立ち去る神崎を見送って職員室に向かった。