超最強嫉妬彼女 前編-18
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「父親の影響でね、キックボクシングをやってたの」
どういう父親だ。
「当時は熱中し過ぎて、気付いたら女子チャンピオンなんて称号までついてた」
「…どうりで強いわけだ」
ミキたちが逃げ去った後、俺はその場にへたり込んでいた。
花耶は今も仁王立ちしている。
「顔、腫れてる」
「ああ、いてえ」
「……あの、さ」
「ん」
花耶の顔を見上げると、なぜかいつもの真っ赤な顔だった。
「……休んでいく?その…顔、冷やしてあげたいし」
「……は?」
ああ、そういやここ、ラブホの前だった。
すっかり忘れてたわ。
つーか、花耶のやつ何言ってんだ?
「お前、本気で言ってんの?」
「……うん」
「入っちまったら俺、間違いなくお前のこと抱くぜ?」
「……いいよ」
そう言った花耶の優しい笑顔に、胸が疼いた。
「……帰るぞ」
「え?」
俺は立ち上がってズボンを叩いた。
「ほら、花耶行くぞ」
「だって…絶対ホテルに入ると思ってっ!」
「…いいんだよ」
俺がそう言うと、花耶は天を仰いだ。
「…また振られたあああ!うわああん!」
そして花耶は突然泣き出す。
「ばか!泣くな!」
多分、抱くことを拒んだから花耶は振られたと思ったのだろう。
そういうつもりじゃねえのに。
「ほら」
俺は花耶の手を握って引っ張った。
「……公也?」
「一緒に帰ろう」
「…うわああん!やっと一緒に帰れるよおおお!」
「うるせえ!」
そんなに一緒に下校がしたかったのかよ。