背徳の時間〔とき〕B 後編-8
和気を想えば想うほど、未来がない現実が、真由花に突き付けられている気がした。
いつか和気から離れていく日がくるとしても、その時は自分が決めたかった。
真由花は時々、和気をずるいと思うことがある。
『真由花と先に出会っていたら、俺お前を選んでた。』
和気からこの言葉を聞くたびに、かすかな希望が生まれ、和気との未来を信じそうになる。
そして、その希望はやがてはかなく消えていく…。
『真由花ごめん…。こんな話やめような。俺、たぶん疲れてんだよ。』
和気は、そう自分に言いきかせるようにつぶやくと、真由花のグラスにワインを注いだ。
真由花は酔いたかった。
酔うことで、答えが見つからないこの場所から抜け出せるのなら、酔い潰れてしまいたかった。
『まゆか…まゆか…。』
真由花を呼ぶ、和気の声が聞こえた。
『布団敷いて貰ったから…あっちでおやすみ。』
そう言って、酔って眠ってしまった真由花を抱き、布団に寝かせた。
「わきさん…。まゆかのこと愛してる?」
『うん、愛してるよ。』
「本当に?」
『ああ…。』
「うそつき…。」
その時だった。