背徳の時間〔とき〕B 後編-7
「和気さん、何でそんなひどいこと言うの?」
真由花の目にはみるみるうちに涙が溢れ、今にもこぼれ落ちそうだった。
「そんな話、聞きたくない。」
真由花がそう続けると、和気は黙った。
「いつもの和気さんらしくない。」
真由花は初めて和気を攻めた。
真由花の瞳からは、幾筋も涙が頬を伝い流れた。
『うん…。そうだな。いつもの俺じゃない。』
「どうしたって言うの?今までだって、私達楽しくやってこれたじゃない。」
『うん…。』
真由花は和気の真意が解らず不安になった。
今日は朝から丸一日、一緒に過ごしていたと言うのに…。
なぜ?
なぜなの?
今、和気の中にはどんな感情が渦巻いているのだろうか?
真由花は気になった。
しかし、恐ろしくて真由花には確かめることができなかった。
手を伸ばせば触れられる距離にいる和気が、今は遠い。
先ほどの和気の言葉は、真由花の胸に突き刺さり、トゲとなってそのまま胸の内部に残った。