tear-7
茶色い髪
優しい瞳
あったかい胸
大きな腕
…何で気づかなかったんだろう…
私をいつも包んでくれた隼人。
気を許せる唯一の人間以上に
一人の男として、私はこんなにも隼人が大好きだった…
次から次へと涙はとめどなくこぼれ落ちた。心に収まり切らない、切なさが溢れ出すみたいに沢山…沢山。
少しして、彼は唇を離した。共に言葉を交わさなかった。
照れ合う時間もなく、別れがやってくるのを感じる。
私達は無言で玄関まで歩いた。玄関のドアを開けると、風は冷たかったけど、空は青かった。
「じゃあな…雪。元気で頑張れよ。」
隼人はそう言って私の肩を叩いた。
ああ、泣いちゃダメだ…最後くらい笑顔でいなきゃ…
「うん…頑張るねっ!」
私も精一杯の笑顔をつくる。
「じゃぁ…」
そう言って隼人は扉をゆっくりと閉めていく。
3分の2ぐらい閉まりかけたところで、私は残されたありったけの精気をかき集め、力の限り叫んだ。
「隼人っ!!私…隼人が大好きだった。いつも迷惑ばっかかけてごめんなさい。今まで本当にありがとう!!」
玄関の扉が再び開きかける。けど、私はかまわず走り出した。
顔は涙でグチャグチャだった…
ハァハァと呼吸も苦しい…
けど、私は走るのを止めなかった。走ることをやめてしまえば、自分に負けててしまいそうで…。
駆け込んだ自分の部屋の中。私は扉を背にずるずると座りこむ。瞳を閉じると、まぶたの裏に隼人の笑顔が浮かぶ。
隼人…本当に大好きだったよ…
元カノとヨリ戻せたらいいね…
精一杯走って帰ってきた疲れのせいか、私はそのまま眠ってしまった
目にいっぱいの涙をためて俺にすがる彼女に
かすかに愛しさを感じた
白く華奢な彼女を
いつまでも離したくないと思った
彼女とした甘いキスは
俺の胸の奥の奥をジーンと熱くした