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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第六話-1

「なんていうかなー…うーん…。それこそ鷹の外見にだけ惹かれて中身は見てない感じがしたっていうか…」

「……」

「あくまでも私の意見だけど、鷹のことほんとにいいなと思ったら、寧ろ鷹に話させるね。自分が聞き手になるっていうか」

「はぁ…」

「鷹は優しいから、相手の話にちゃんと付き合うんだよね。でも鷹のことしっかり見てる人だったら、鷹の引き出しの多さに気付くと思う」

「それ何となく分かります…」

「でしょ?鷹って引き出しが物凄い多くて。誰も知らないところで色んな物を読んだり見たり聞いたりして勉強してるからさ。話してるとこっちが勉強になっちゃうんだよね」

「ですね…」

「まぁたまに目茶苦茶難しいこととか言って着いて行けなくなるけど、でもユーモアもあるし。だから鷹と一緒にいるのに鷹の話聞かないのは損っていうかさ」

「分かります…」

「あの子も、そうだったなぁ。鷹のことあんまり見てあげてない気がしたんだよね。だから、違うと」

「はぁ…」

「救ちゃんは、どう?鷹と」

「私は…いっつも勉強させて貰ってますね…。哲学的な話にしてもタトゥーの話にしても音楽でも何でも、私の知らないことばっかりなんで。モノの考え方も深いですし。でも窮屈に感じないし…急に子供っぽい悪戯とかもしてきますしね…」

「分かるなーそれ。鷹ってほんと急に子供になるよね。そのギャップが可愛いっていうかさぁ。でも、周りからは特別な目で見られてるかもしれないけど、鷹って救ちゃんとかと変わらない、所謂“普通”の子なんだよね」

「はぁ…」

「バカ騒ぎだってするし、酔って全裸にもなるし、泣くし、悲しむし」

「意外です…それ…」

「あの子同世代にあんまり友達いなかったから、年上と遊ぶことばっかり覚えちゃって。だから大人びたってのもあるし、元々馬鹿みたいに喋るタイプでもないからね。感情もあんまり表に出さないし。でも、それはそう見えないだけであって。ぱっと見で計れるほど単純でもないけど、逆に複雑でもないんだよ」

「難しいです…」

「ははは。でも安心したよーっ。救ちゃんは、“聞く子”だし。良かった良かったぁ」

「それは…どういう…?」

「前にね、休憩の時に珍しく鷹が学校の話ししてさー、その時に“同級生で自分の話真面目に聞いてくれる子がいる”って言っててさ。今まで周りのタメの子で鷹の話ちゃんと聞く子いなかったから、嬉しかったのかなぁ。でさ、この前Freakで飲み会やった時にね、“ほら、あの子。前髪パッツンの。あの子が話聞いてくれんの”って。救ちゃんのことだよ?」

「えっ…あっ…私ですか…」

「私も今日直接話してみて、すっごい安心した!救ちゃんなら鷹と合ってるねぇ」


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