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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第四話-1

唐突過ぎて鷹丸くんが何を言ってるのかよく分からなかった。



「え?」

「いや、パツ子の名前。良いなと思って。だって“救“だぜ?救うんだぜ?良い名前だよ」

「そ…そうかなぁ…。私はあんまり意識したことないけどね…」

「でも名前はその人を表す鏡だから。人も物も、全て名前があって初めて認識される。名前の無い物は“あれ”とか“これ”とか、不確定な呼び方しかされないでしょ?パツ子は産まれて名前を授かったその時から“赤ちゃん”という広いカテゴリーから“救”という個体として認識されたんだ。これって当たり前のようだけど実は凄いことだと思う。産まれた赤ちゃんは救という名を一生背負って、人々には“救”として一生認識されて生きるわけだから、親が子に与える名前ってとても責任あることだし、重要だと思う。だからパツ子はもっと自分の名前に誇りを持っていいんじゃないかな。パツ子は“救”の名に恥じない人間だと思う」

「なんか鷹丸くんにそう言われるとそう思っちゃうなー…」

「まぁ俺はそのきっかけになればいいからさ。そこから更にどう考えるかはパツ子の自由だし。ただ、俺はそう思ったってだけだから」

「うん。なんかありがと」

「いえいえ」

「なんか鷹丸くんて何でも知ってるみたい」

「我未だ生を知らず。焉ぞ死を知らず。俺が“理解”出来てる事なんて無いに等しいよ。てかパツ子、時間大丈夫?もうだいぶ遅いけど」

「えっ…あっ!そろそろ帰らないと…」

「おう。俺も帰るわ」

「うん。あ、ジュースごちそうさま」

「いえいえ。じゃ、また明日な」



なんか、嬉しい気持ち。
久しぶりに、親に感謝しないと。

と、部屋で一人悦に浸っていると知らない番号から着信がきた。



「もしもし?」

「あ、俺、鷹丸。いきなりごめん。大海ちゃんに聞いたんだ」

「あ、そうなんだ。どうしたの?」

「あのさ、“Freakout”って宴会っていうか、大勢の飲み会とかって出来る?パツ子バイトしてるから分かるかなーって思って」

「あ、えーっとね、予約制になるけど出来るよ。人数によっては貸し切りにしないといけないから料金変わるはずだったけど」

「あ、そうなんだ。じゃあとりあえず出来るんだね」

「うん。飲み会やるの?」

「うちのショップの先輩らがさ、店早く閉めてスタッフ全員で飲み会やりたいらしくてさ。俺の他にも何人かFreakout知ってるスタッフの人いるから、そこが良いんじゃないかってね。うちの店からも近いし。で、Freakのバイトが友達だって言ったら俺に確認しといてって言われて。さっき公園で聞けばよかったんだけどねー」


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