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ふつう
【青春 恋愛小説】

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ふつう-第四話-6

「…パツ子、おい、パツ子!」

「…ん?」

「もう休み時間終わって秋先生の授業始まってんぞ。ボーッとして、大丈夫か?」



あんたのせいだぞ…このモヒカン野郎!
と、心の声。



「えっ?あっ!ごめん…」

「ヨダレ垂れてる…」

「えっ、マジ!?」

「嘘っす」

「ちょ…ばかっ」

「ははは」

「おいこら救!多岐野!授業中だぞ!」

「あっ…ごめんなさい…」

「すんませーん。…怒られちった…」

「鷹丸くんのせいだよっ」

「人がせっかく現世に呼び戻してやったのに?」

「現世って…」



鷹丸くんにはこういう子供っぽい一面もある。
子供っぽいというか、まぁ普段が大人びているから寧ろこっちのが年相応と言うべきなんだろうけど。

でもそんな一面を見せられる度に、鷹丸くんも普通の男の子なんだなって思う。

その度に、安心する自分がいて。

みんな鷹丸くんをちょっと特別な人みたいに見てるけど、でも本当はそんなことない。と、私は思う。

鷹丸くんをだって普通の男の子なんだ。


……って、普通って何?



「おい、パツ子っ」

「…えっ?」

「また目がイッてたけど」

「えっ…あっ、ごめん…」

「今のパツ子の似顔絵描いたから…ほらっ、そっくり」

「なっ…これ…ひどーい!」

「ひひひっ」

「おい救!多岐野!少し黙れっ!」

「……ごめんなさい…」

「すんませーん」

「もう…また怒られちゃった…。鷹丸くんのせいだからねっ」

「まぁまぁ、この似顔絵あげるから機嫌直してよ」

「いらない!」

「救!多岐野!うるせーって!お前らちょっと廊下に立っとけ!」

「……はい…ごめんなさい…」

「はーい」

「鷹丸くんのせいだよ…」

「いや、パツ子だろ」



廊下でも言い合いながら、私はその絵を気付かれないようにそっと、大切にポケットにしまい込んだ…。


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