由里子と先生4-2
ピピピ…ピピピ…。
計り終わった体温計を見ると、37度2分あった。
もしかしたら、これから熱が上がるかも知れないから、帰ってゆっくり休みなさい…、と養護教諭は早退を許してくれた。
学校を早々に飛び出した由里子は、駅へと急ぐ。
ちょうどホームに入ってきた電車に乗り、3つ目で降りた。
駅からは、直線で坂道を500bほどのぼったところに佐々のマンションがある。
焦る気持ちが由里子を早足にさせた。
ハアハアと息が上がりマンションに着くと、そのまま階段を駆け上がり、2階1番奥の部屋のインターフォンを押した。
ピンポーン、ピンポーン。
息を整えながら佐々の返事を待った。
休みの日に何度か訪れたことのある場所だったが、制服で来たのは初めてだった。
「あれ?返事がないなぁ…。」
しばらく待ってみたが、いっこうにドアの開く気配がない。
眠っちゃってるのかな?
まさか動けないほど重病とか?
何だか胸騒ぎがし始めたときだった。
『お前、こんなとこで何やってんだよ。』
佐々はジャージの上下にサンダル履きで、手にはコンビニのビニール袋を下げ、こちらに向かって廊下を歩いてくる。