Double Lover(2)-2
『や、でも…あの…』
「そりゃあ私も長い事居させてとは言わないわ。自分が…美烏が誰なのか、どうしてここに来たのか片付いたら、すぐに出ていくし。絶対に迷惑はかけないわ。宝って女いないからいいでしょ。別にいいよね?ねえ?」
まあ、そんなこんなでお願いされて(正しく言えば半分脅されて)開いてる部屋を貸すことになってしまった。
てか美烏の顔でお願いされてしまったら、断りにくい。
何やってんだ俺は…。
もちろん家に帰れば女が…って気分じゃない。
〈天使か悪魔〉どちらかが家にいるっていう、ある意味ロシアンルーレットみたいな感じだ。
二人は黙って俺が白状するのを待っているようだ。
『女っていうか…彼女ではないんだけど…。笑うなよ?』
俺は諦めて口を開いた。
『あのな…昨日帰りに女拾ったんだ。』
「はあ?!拾った?」
直は大きな声を上げ、目を見開いた。
直よりはリアクションが薄いが予想外の話だったのか、さすがに優も驚いたようだ。
『最初はちょっと可愛いし土砂降りの中傘も差さずに突っ立ってたから、家に上げたんだよ。んで話聞けば信じられない話かもしれないけどその女、自分の名前しか分かんなくてよ。しかも二重人格…』
二人は驚きのあまり、黙り込んでしまったようだ。
『大人しいかわいらしい雰囲気の子かと思えば、急に口も悪くなって態度もでかくてすげー正反対なんだよ!名前も年齢も違うし!すげー怖いよ!あの子!んで自分の身元が分かるまでの間だけ居させてくれって頼まれて…』
「宝の様子見た感じだと、頼まれたんじゃなくて脅されたんでしょ?てかなんか漫画みたいな話だね。」
優はやはり冷静だ。
『う゛…さすが優…』
「まあよう、可愛いんだろ?いいじゃねえか!うまくいけばやっと宝にも彼女できるかもよ?」
直はニヤニヤしながら、楽しそうだ。
こいつは本当に…
宝は直に反論するのを諦めた。
「とりあえずその子と会わせてくれない?宝一人で動いても目立つだろうし、騒ぎ立てられたら困るじゃん?僕たちも協力するよ。」
「その子に俺も会いてーな。…て優!僕たちって俺もかよ?なんで俺が…」
優が横目で直を睨みつけると、直は黙りこんだようだ。
『二人ともサンキュー!助かるわ。さっそく今日の仕事終わってから、その子連れて飲みに行こうか。』
直の女好きな性格には少し不安だが、協力してくれるのはありがたい事だ。
優は頼りになるだろうし。
少し気持ちが楽になった俺は、二人と撮影に戻った。
あーそんな毎日は嫌だ…。
俺はどうすればいいんだ。