距離〜美沙と賢〜-6
「はぁ?言わなきゃ分かんねーかな」
「分かってなかったら一年も付き合わないわ!」
「じゃあ別にいいじゃん。だいたいな、男にそんなこと言わせんじゃねーよ」
「でも剛くんは幸に言ってるんだぞー!」
「剛は剛、俺は俺。比べるな」
「えーっ!すっげー不満!」
「ま、いいじゃん。な?落ち着けって」
「……………」
「美沙?」
「バカ……私だって女なんだよ……。今まで言われなくても分かってたし、続いてきたけど…グスッ…賢は全然…分かってないよ……やっぱり…グスッ…言って…ほしいよ……グスッ…」
「………美沙」
「……グスッ……もういいよ…グスッ…期待してた…私が…バカだったよ…グスッ…もういい………バイバイ…」
「なっ…おい!ちょっと待てよ!」
「うっさいバカ……触るな……バカ…グスッ…グスッ…もう別れる……それに…この前…私のこと…好きだって言って告白してくれた子がいるから……グスッ…そっちの方がいいよ……」
「は!?そんなん聞いてねーぞ!」
「…だって言ってないもん…グスッ…じゃあね…グスッ…」
「ちょっと待てって!」
「なんだよバカ…グスッ…」
「……あー…あれだ……あの……」
「…………」
「…す…好き、だ」
「…何言ってんだバカ……聞こえないよ……」
「…だからその……あーもう!好きだって!美沙のことが!」
「足りない…グスッ…」
「…だから…俺は、田中美沙を愛してんだよ!だからずっと俺の隣にいろ!他のやつのとこなんか行くな!」
「………ふふ、やっと言ったなー」
「……あ?」
「こっそり携帯で今の録音しちゃったー。一生モノだぜーっ」
「…お前…泣いてねーの…?」
「泣くわけねーだろー。演技だ。告白されたのも全部ウソ」
「……………うわー。キレる気も起きねーよ……」
「別に減るもんでもないし、いいだろー?なー?」
「うるせーっ………」
「私だって同じ気持ちなんだから」
「………」