距離〜美沙と賢〜-4
次の日の放課後。
帰宅の為に下駄箱から校門へ向かう幸と美沙。
「あれ?あそこにいるの賢くんじゃない?」
「えーっ?ほんとに来たのかあやつ…」
「よっ。佐山さん、ちょっと相棒借りていい?」
「えっ、あっ…どうぞ」
「悪いね。じゃ、行こうぜ」
「おーいちょっと待てよー。私の意見はー?」
「いいからいいから、行くぞ」
「えっ…あー…ごめん幸っ」
「いいよいいよ、楽しんでらっしゃーい」
「悪いね佐山さん。またね」
「はーい」
30分後。
学校からは少し離れた公園。
「拉致られたー。助けてー。腹減ったー。うー」
「おいおい、人聞きの悪い」
「だってそうだろー。一体なんなんだー」
「…これ、やる」
「え?何これー」
「開けてみ」
「……おわっ……オイルライター…?」
「ああ。やる」
「えっ?何で…?」
「誕生日」
「えっ?なんで知ってるのだ?」
「聞いたから。佐山さんに」
「………なんで?」
「………別にいいだろ。まぁそれでよかったら使ってくれよ。強引に付き合わせて悪かったな。じゃーな」
「おいおい!帰るのかー!」
「だって物は渡したし」
「そういう問題じゃないだろー!なんでわざわざこんな高そうなライターくれるのだ」
「………別に。まぁ、誕生日プレゼントだな。タバコ吸うって聞いたし」
「や、なんか理由になってねーよー…」
「まぁいいだろ。じゃ」
「ちょっと待って!………ちゃんとした理由も無いなら受け取れないよ。まだ知り合って間もない浅い仲なんだぞ?」
「…もっと深くなればいいと思って。きっかけになれば、な」