……タイッ!? 第三話「診察しタイッ!?」-30
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「……どうすんだよ、これ……」
ベッドのシーツには小さなシミが出来ていた。
目の前の綾はあくびをするように伸びをしており、たまに自分の愛液が濡らした箇所を指で擦る。
「すぐ乾くさ」
「色、残るかもな」
「なら洗濯すればいいよ」
今日ぐらいの天気なら一時間もしないで乾くだろう。紀夫は早速シーツを取り替えようと棚を探り始める。
「あ、おい、先生の机」
「ん? なに? どうかしたの」
「三番目、あ、二番目かな? ちょっと開けてみろよ」
何のことだろうと訝りながらも言われるまま引き出しを開ける。
性格のわりに整頓された中身はノートと資料がいくつか。それに横文字のある白い箱があった。
「なんか箱ない? 投げて」
「うん」
箱が何であるのかは不明だが、ここは元女子校の保健室。生理用品などだろうと思い、軽く放り投げる。
「サンキュ……」
紀夫は棚を調べるのに戻る。新品のタオルやガーゼ、絆創膏があるが、肝心のシーツが見つからない。部屋の隅の本棚の辺りを見てようやく見つかった。
保健室のベッドは三つ。一つだけ剥がされていると気付かれるかもと思い三つ取る。他の二つのシーツも交換しておけば気の利く生徒のお手伝いといい訳ができるし、ごまかしやすいというもの。
紀夫は最近の自分を冴えてると思いつつ、アリバイ作りを行った。
「なあ、どうすんだ?」
「え? ああ、大丈夫。上手くやるよ」
「違うよ。こっち……」
二つのシーツを替え終わり、いざ鎌倉へとカーテンを開けると、ベッドの中央で胡坐をかく綾がいた。しかもまだショーツを穿いておらず、視線に困る格好。
「な、綾さん……」
「綾でいいよ。っていうか、あたしのこと、どうすんの? まさかコレでおしまいとかいわないよな?」
白い箱から正方形の包みを取り出して、ピリリと破る綾。中からは最近お世話になったことのある薄い膜が出てきた。
「人のアソコ弄んでおいて、しかもごにょごにょして……」
「綾、満足できなかった?」
驕りと思いつつも自分はクンニリングスと指での行為、それにキスで彼女を絶頂に導いた自負がある。
「あのさあ、お前のせいであたしのアソコ、まだクチュクチュしてるんだよ。奥もなんかむず痒いし、っていうか、お前の指、短いんだよ。だからイイトコまでとどかなくって……」
「うん、うん、それで……」
鼻の頭に例のきな臭さがよぎる。興奮で血管が膨れ上がり息もしづらくなる。
「あたしが言わないと駄目か? 結構イジワルなんだな……」
枕にドスンと倒れこむ彼女は、脚をMの字に開いて彼を誘っていた……。