……タイッ!? 第三話「診察しタイッ!?」-23
「里美とどっちが綺麗?」
「イジワルだな」
「どっち?」
上擦った感じの試す聞き方に窮してしまうが、今は里美もいない。率直な意見、大方の視線を参考にすれば、
「間違いなく綾さん」
「へー、言うね。ふふん、まあそうだろうな。てか、はは、嬉しいかも……」
小声になる綾を前に胸がきゅっと締め付けられるのを感じる。
普段クールどころか他人を寄せ付けない彼女の少女らしい仕草のギャップに騙されるのが悔しいが、今の綾に冷静さを保てる自信も無い。
「……里美とはどうだったの? したんだろ? エッチ」
「里美さんは……」
「脚、触ったんだろ? 舐めた? キスした?」
「いや、だから……」
「あたしの触ってみる? いいぞ。特別な……。あ、でも匂い……嫌じゃなかったらだけど……」
体育座りを解き、右足を前に出す綾。左足はタオルケットに隠したままなのが残念だが、目隠ししたままではそう変わらない。
二十九度に設定されたエアコンはあまり賢くないらしく、主の周りだけに風を送っており、カーテンで囲われたベッドは二人の熱気が混ざり合い、蒸し暑い。
「綾の……脚……」
右のひとさし指でそっと触れる。小さく「ん」と聞こえた。
「スベスベしてる……」
中指を滑らせ、手の平で感じる。目隠しをずらして間近で拝みたい気持ちがあるもぐっと堪え、代わりに鼻をわざとらしく大げさにヒクヒクさせる。
「綾の匂い……、ふぅ……なんか、変……俺……なんかなあ……」
「お、おい?」
「ゴメン……ちゅっ……」
乾いた唇をそっと押し付け、唇で噛むこと数回。
「ん、お、おい……あ、なんなの? 馬鹿、やめろよ……」
「こうすると、綾の匂いがわかる気がして……」
じたばたしだす脚を両手で押さえ、下唇をナメクジのように這わせる。
口腔内から溢れてきた粘液質の唾液がこぼれ、モデル並みの脚を汚し始める。
「……ん、くぅ……っ!」
脚を退くと背中が壁に当たる。その反動でベッドが揺れ、滑車がキィと音を立てる。