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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第三話「診察しタイッ!?」-12

「そうね、それいいかも」

 総体が終わったあとはテスト期間が重なったせいで特になにもなかったことを不満に思っていた里美は、これ幸いとばかりに手を合わせて賛成する。

「ゴメン、あたしパス。悪いな」

 しかし、肝心の綾はそれだけ言うとそのまま保健室を後にしてしまう。

「何よ、綾ったら感じ悪い!」

「まあまあ里美さんも怒らないで……」

 ヤカンがごとく沸騰する里美に対し、煽るようなフォローをしてしまう紀夫。理恵は内心「それがよくないのに」とため息を着いた。

**――**

 お昼を軽く済ませた程度だった紀夫たちは、昼間理恵が話題にした例のお好み焼き屋へと寄り道していた。

 店内では部活帰りの中学生が多く、ジュージューと生地の焼ける音と、青海苔と鰹節、他に豚肉の食欲をそそる匂いがした。

「でね、ここはとろろ昆布をいれて、あと山芋が入ってるから生地が崩れにくくなるの」

 理恵は得意そうにヘラを振るい、ブタ玉とイカ玉を焼いていた。

「へー、上手だね」

 里美も真似しようとエビ玉の生地で円を描くが、途中でブタ玉とくっ付いてしまう。

「あらら、サトミンってばお好み焼きでもノリチンと一緒がいいの?」

「な、馬鹿言わないでよ! 別にそんなんじゃないわよ」

 口を尖らせて抗議する里美はそのままヘラで紀夫の領土の一部を奪う。

「あ、ちょっと!」

「へへーんだ、ご祝儀って奴ね」

「それじゃあたしのもあげるね」

 今度はイカ玉の領土が献上され、倍近い島を成す里美のエビ玉……だが、

「あ、そろそろ返さないと焦げるんじゃない?」

 裏返しにするとこんがりキツネ色になっており、理恵は一回り小さくなったブタ玉とイカ玉をくるりと反転させる。

「すごい、理恵さん上手だね」

「えへへ、お好み焼きとホットケーキは得意なの」

 素直に照れる理恵が頬を掻くと、その拍子に青海苔が舞って鼻の頭についてしまう。

「理恵さん、鼻についてるよ……」

 お手拭でそれをちょんちょんと取ってあげると理恵は舌を出してはにかむ。

 その様子は高校生のカップルを彷彿させるワンシーンであり、横目で睨んでいた里美は正直面白くない。とはいえ、目の前の領土は焦げた匂いがしだし、それどころでもない。


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