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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第三話「診察しタイッ!?」-13

「よい……しょっと!」

 両手に持ったヘラで裏返すも重量オーバーなせいで三割ほど不時着……。

「あーあ、失敗しちゃった……」

 しょんぼりする里美はヘラと割り箸でなんとかフォローするも、重なった部分は既に癒着してしまう。

「元気だしてよ里美さん。俺のを少し食べていいからさ」

 理恵の焼いた綺麗な丸の一部が差し出され、代わりに領土の一部が返還される。

「ありがと……」

「ならあたしも」

 遠慮なく一部を切り取り、代わりにイカの脚の見える扇型がやってくる。

「わーい」

 特製ソースを少し焦がしてから頬張るのが「通」らしく、カツオ節を躍らせながらがぶりと一口。

 青海苔の風味とフンワリもちもちした歯ごたえ、極限まで細く刻まれたキャベツにしっかり火が通っており、ブタの過剰な肉汁とが重なり、塩気も甘みも充分だった。

「う〜ん、熱いけど美味しい!」

 口の中を焼けどしながらお冷と交互に口に運ぶ里美。理恵はさらに紅しょうがを加え、酸味も楽しんでいた。

「ねえ、そっちのエビの奴美味しい?」

「うん。あ、俺もイカの少しちょうだいね」

「あ、ここはマヨネーズをもっとかけないと……」

「テンカスが入ってるんだ?」

「昆布かな? なんかぬるっとして美味しいね」

 三人のヘラが仲良く交差しつつ、あれよこれよと話しているうちにオヤツにしてはボリュームのある三玉が平らげられてしまう。

「ふう、お腹一杯……」

「うん。ちょっと動けない……かも」

 別段込んでいるわけでもないと長居を決め込む三人は、背もたれに深くかかり「ふう」と満足気なため息を漏らす。

「……やっぱりお好み焼きは皆でわいわい食べるのが楽しいし美味しいのよ」

「そうだな。俺も初めてお店で食べたけど、家で食べるよりずっと美味しかった」

「なんであやっち、来なかったんだろ……」

 まったり具合に横槍を入れる一言に二人は苦笑い。とはいえ同級生、同部員である綾を無視し続けるわけにもいかず、楽しい雰囲気に陰も差す。

「綾って昔はどうだったの? っていうか何時からあんなふうになったんだっけ?」

「んとね、中学三年かな? アヤッチに彼氏が出来たとかそんな話で盛り上ってたんだけどさ……」

「かれしぃ〜?」

 明らかに不機嫌そうに聞き返す里美と「妥当かな?」と首を傾げる紀夫。理恵は里美のリアクションを見て、内心「羨ましい」のだろうと笑いを堪えつつ続ける。


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