振り向けお前っ!15話〜結末〜 -6
夏休みもほとんど終わりに近づいてくる。
最近はほとんど家から出ることのなくなった悠太だが、久しぶりに外に出てみようかと思い、準備をしていた頃だった。
不意に
ピンポーン。
インターホンがなった。
「はいはーい。」
そう軽く言ってドアを開ける。
そこには愛華が立っていた。
「え!あ、愛華!!?」
「こ、こんにちは。」
少し照れたような感じで言い返してくる。
そして。
「今度こそはっきりいます。ですから少しだけお時間を下さい。」
きっちりとした態度でそう言った。
夏休みも最後といっても暑いものは暑い。
なので木陰がある場所で、人気のないところまで来ると愛華が振り向き
そしてこういった。
「残念ですが、・・・・・・私は、・・その、あなたと付き合うことはできません。」
突然の告白だった。
「え・・・?」
「ごめんなさい。」
「・・・・分かった、それが答えなら良いよ。」
「・・・・」
「ありがとう、俺のためにわざわざこんなに考えて、ちゃんと言ってくれて。」
言い終えたときに愛華の顔を見た。
頬に向かって伝うものがあった。
「だって、私はあなたが好きなんです、でも、人を好きになるのはそれなりの覚悟と犠牲がいるんです。」
もう大丈夫、全部伝えられる・・・。
「それは今回だけなのかもしれません、でも、私には出来なかった。」
「阿佐美の事・・?」
「そうです、私よりもっとあなたを好きだと想う気持が強いはずです。それなのに、私が途中から出てきて阿佐美さんの想いを壊してしまう。」
そう考えたとたん、とてつもなく大きなものを背負わされる気分になった。
「阿佐美さんだってわかってたはず、私があなたを好きなのを。」
それなのに・・・。