振り向けお前っ!15話〜結末〜 -5
「ちょっと待てって。」
そう言われ、腕を掴まれていた。
「何よ!離しなさいよ!」
「だから、何でお前が、泣いてるか聞いたら離すって。」
「あんたなんかに話したくない!」
「・・・悠太のことか?」
図星を突かれた。
「――ッ!だから関係ないって言ってるでしょ!」
一瞬の戸惑いを見せてしまった、それを見逃さなかったのか。
「あーあついにフラれたか。」
そう言われた瞬間絶句した。
「ま、まさかあんた知ってたの?」
「お前が悠太のこと好きなのをか?」
「・・・・・・」
「カマかけただけだっつったらどうする?」
「本気であんたを殴る。」
「・・・・・知ってたさ。」
いつもの進一とちょっと違う気がする、いや、これが本来の進一なのだろうか。
「まぁ、あんな態度だとな、わかりやすいって言うか何って言うか。」
「まさか、あんたに気付かれてるとは思わなかったわよ。」
「話くらい聞いても良いだろ?」
ということで場所を移動した。
手短にということでどこにでもあるような公園のベンチで座って話す。
阿佐美が全部言うのを何も言わず聞いていた進一だった。
そんなことがあったのも知らずに悠太は、まだ眠っている。
そして、愛華は・・・・。
困っていた。
「・・・・どうしよう、やっぱり言い出せなかった。」
そんな独り言を漏らす。
あの時答えようとしていた言葉が出せなかったのを悔んでいた。
「・・・・何で言えなかったんだろう。」
そんなことを口に出して考える。
言いだすのが怖かった、それもある、後は悠太の優しさに付け込んで言わなかっただけなのかもしれない。
あそこで、話を切ってくれてどこか少しほっとしていたのかもしれない。
少女は悩んでいた・・・・。
そして、3人の環境が少しずつ変わってきながら、数日が過ぎる。