彼氏(仮)──疑問-7
でも、本当に冷たいのは私の心の方かもしれない。
視線の先に映る道は湿り気を帯びていて、それはゆっくりと宙に溶け込んでいく。
片手に持つ遼君の折り畳み傘をプラプラと揺らして、でも、意識は全く別のところに向けていた。
どして私なんだろう……
胸中を過っていく、さっきの遼君の笑顔……
今朝の笑顔……
昨日の笑顔……
今の私にはどれも眩しくて、優しくて……
フッと我に返って、何度も首を左右に振った。
そして何かを包み隠し、胸の片隅の、もっと端の方へ追いやった。