投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

彼氏(仮)
【純愛 恋愛小説】

彼氏(仮)の最初へ 彼氏(仮) 0 彼氏(仮) 2 彼氏(仮)の最後へ

彼氏(仮)──約束-1

上へと延びる白い階段。

その先には、重たそうな扉が立ちはだかっている。

怒りに任せて、私はその扉へと駆け上っていた。

ドアノブを捻って押し開くと、梅雨前の気持ち悪い風が肌に絡み付いてくる。

風に靡く髪をかきあげもせず、私は、フェンスの向こうを眺めているアイツの背中に駆けよって、悔しさを込めた拳で小突いた。



「有り得ないっ!」



開口一番に怒鳴っていた。

ソイツは顔色一つ変えずに、ただ、苛立つくらいの微笑みを私に向けた。



「そんなこと言ったって、有り得たんだから仕方ない」



ムカつく。

それこそ、腸が煮え繰り返りそなくらいに。



「絶対、なんかズルしたでしょ!」

「決め付けるのは良くないと思いまーす」



問い質すだけムダみたい。

でも、興奮せずにはいられない。





「じゃあ、約束通り付き合ってね」



そう。

この約束こそが、私を激怒させる原因。



なんで?

どうしてこんな奴と?



怒りの矛先を何処へ向けたらいいのか判らない。





コイツ……河中遼は特に不細工という訳じゃない。

むしろ、周りはカッコイイと持て囃してるぐらい。



ただ、私は嫌いだ。


彼氏(仮)の最初へ 彼氏(仮) 0 彼氏(仮) 2 彼氏(仮)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前