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彼氏(仮)
【純愛 恋愛小説】

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彼氏(仮)──疑問-3

「大嫌いって言ってたのに」



それは今も変わってません。



「まさかとは思うけど……付き合ってたりするの?」



「いや、あー、その……一応って言うか、直ぐ別れるって言うか、仮にと言うか……話せば長くなりまして」



私が口どもっていると、救いの手を差し出すようにチャイムの音色が響き渡った。



「後できっちり聴かせてもらうからねっ」



意味ありげなウィンクを私によこして、麻美は席に帰っていった。





……それなりに覚悟しておこう。



怨めしい視線を、窓際の後ろに席を置く遼君に送ってみる。

けど、彼は雲の広がり始めた空ばかりを見ていて、その甲斐は何もなかった。





放課後になって、昼過ぎから降りだした雨を横目に昇降口に向かっていた。

傘は持ってきてないけど、弱くなったら駅まで走ろうと思ったからだ。

部活に入ってる麻美と違って、私は帰宅部。
雨が止むまでにしなければならないことなんて何もない。



昼休みに麻美に事のあらましを説明すると、

「学級委員も大変だね〜」

とからかわれた。

確かに、学級委員じゃなかったら遼君の更正を賭けてあんな勝負をしなかったと思う。



そう言えば

「奈々が学級委員だから、そんな話を持ちかけられたのかな?」

と疑問を口にしていた。

それも一理あるかもしれない。


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