投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

彼氏(仮)
【純愛 恋愛小説】

彼氏(仮)の最初へ 彼氏(仮) 4 彼氏(仮) 6 彼氏(仮)の最後へ

彼氏(仮)──疑問-2

「そんなことより、そろそろ行こうぜ」

遼君は時計に目を遣った後、私の手を引いた。

「ちょっ……ダメっ!」

私は嫌悪感を露にしてその手を振りほどいてしまった。

これにはちょっと顔色を窺わざるにはいられない。

傷付けてしまったかも……と、良心が傷んだから。



「良いじゃん、恋人なんだし」



子供かっ!



「あのね……風紀的に良くないし、目立つし」

もちろん、ただの言い訳。

でも、遼君はなんとか納得した様子だった。



案外聞き分けがいいみたい。





教室について、私は自席に座った。

朝から疲労困憊だ。



道すがら遼君は延々と何かを話しかけてきたけど、私は曖昧な相槌を打って、殆どを右から左へ聞き流していた。

明日は、バレないように別の出口から駅を出ようと心に決めた。





「奈々ぁ?」



「あ、麻美。おはよー」



「『おはよー』、じゃないわよ」



麻美は友だちの一人で、よく行動を共にしている。

その麻美が、いじらしく私の肩を肘でつついた。



「見たよ〜。奈々、河中君と一緒に来てたでしょ」



「まぁ、いろいろありまして……」



ホント、色々あった。


彼氏(仮)の最初へ 彼氏(仮) 4 彼氏(仮) 6 彼氏(仮)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前