織露府(オルロフ)家の花嫁-7
(畜生ッ!)
千夏の同級生、川原豊は心の中でそう呟いた。彼の心を占めていたものは、千夏に対する憐れみや不条理な結婚式への怒りもないわけではなかったが、むしろ嫉妬と性的興奮の方が強かった。
大広間の中央のベッドの上では、千夏が気を失ったかのように、裸のままぐったりと横たわっていた。激しい愛撫のせいで意識が朦朧としているのだろう。両手両脚を押さえていた男達の手はすでに離されていたのだが、ピンク色に染めた白い肌を隠そうともせず、あお向けに大の字になっている。サクランボのような乳首を乗せた胸の膨らみが大きく上下し、脚も開いたままで、性器が露わになっていた。
川原はそこに駆け寄って、開かれた女体にむしゃぶりつき、滅茶苦茶に凌辱したい衝動に駆られた。
ルックスに自信のない川原は、積極的に千夏にアタックすることなど考えもしなかったが、「もしかしたら」という一抹の期待を込めて、なにくれとなく彼女に親切にしてきた。そうした時に彼女が自分に向けてくれるとびっきりの笑顔は、いつも川原を有頂天にさせた。確かに彼女は、川原と親しくつきあってくれたのだが、それはあくまで、同級生として、友人として、という域を超えるものではなかった。そして、彼女が選んだのは川原をはじめ学部生達が最も尊敬する先輩、織露府淳哉だった。
(そうだ。淳哉先輩から写真を頼まれていたんだ。)
川原は手にした一眼レフを見た。写真が趣味の彼の自慢のカメラだが、披露宴が異様な第二幕に入ってから、目の前で展開される出来事を呆然と眺めていた彼は一枚も写真を撮っていないことに気がついた。そして、花嫁を凌辱するかわりに自分がすべきことを思いついた。
(千夏の写真を撮ろう。オッパイも、オ××コも、あの身体の隅々までカメラに収めて、俺の宝物にするんだ!)
「オレ、写真撮ってくるよ。」
そう言って、席を立った川原を女学生の一人が睨み付けた。
「やめてよ。あんな姿撮ったら、千夏、可哀想じゃない!」
他の女学生も厳しい視線で見ている。一瞬ひるんだ川原だったが、それで決意が変わることはなく、彼女たちに向かって、ムキになって反論した。
「何言ってんだよ。これは旧家のしきたりに則った結婚式なんだ。神聖な儀式なんだぞ!それにオレ、淳哉先輩に写真を頼まれたんだ!」
そう言い放ち、女学生達の非難の目を振り切ると、川原は千夏が横たわるベッドの側に駆け寄って、ファインダーを覗いた。
小さく四角に切り取られた視界に、艶やかな茂みの下で息づくきれいなピンク色をした秘花が見えた。
(これが、千夏のアソコか…)
一旦カメラから目を離し、ずっと憧れていた千夏の秘部を見つめながら、川原は心の中で呟いた。それは、彼が下宿に隠し持っている裏ビデオに映っている赤紫に腫れあがった軟体動物のような代物とはまったくかけ離れた美しさだった。柔らかそうな舟形の膨らみの間からピンク色の肉細工が少しはみ出している。それは、織露府家の男達にかわるがわる弄られたため、愛液に濡れてつやつやと光っていた。真っ白なシーツには、水をこぼしたような大きな染みができている。
目を閉じ上気した可愛らしい顔を、可憐な乳首を乗せた乳房を、なだらかなお腹と腰のラインを、黒々とした恥毛を、股間に息づく秘部を、そして全身を…、川原は千夏の全てをカメラに収めてようと、夢中でシャッターを切った。
ふと気がつくと、千夏の両親が川原の横に立っていた。
両親がベッドの側に来たのを感じた千夏は、慌てて、両手で身体を抱きかかえるようにして丸くし、顔をそむけた。