振り向けお前っ!14話〜揺らぐオモイ〜 -7
「そう、何か知らないけど、よく欲しがってなぁ、自分か進一にやらせればいいのに毎年俺でさ。」
「そう・・なんですか。」
少しだけ愛華の顔が暗くなったような気がした。
「なぁ、愛華。」
「はい?わっ!」
名前を呼ばれ、顔をあげたら目の前にヨーヨーがあり、それに驚いて声を上げた。
「一番でっかいのあげる。」
「あ、ありがとうございます。」
そうしてまた、プールに向きなおり。
「おっちゃん、釣り針切れてないからまだやっても良いよね。」
「おう、いいぞ。」
「ありがとう。」
と言って、5,6個をささっと釣り上げてその店を後にする。
「すごいですね、でもそんなに取ってどうするんです?」
「欲しがる奴が一人だろ、後初めてが2人で後は俺の。」
一人足りない気がした。
そして、ヨーヨー釣りの屋台から離れると、また色々回った。
しばらくして、悠太の携帯に電話がかかる。
『あ、悠太?初めの位置に集合。10分で来なさい。』
「は?何でだよ、別行動じゃないのか?」
『いいから早く来なさい!』
そこまで言うと電話が切れてしまった。
「なんだよ、まったく。」
「あの、どうしました?」
「何か最初にいたところに戻ってこいだって。」
そう言い悠太は少しあきれ顔のまま、集合場所に向かうことにした。
そして、その場所に着くと誰もいなかった。
「・・・・何で呼び出した奴がいないんだ。」
頭を抱え込んでそう言う悠太を横目に、愛華は別のことで悩んでいた。
なぜ阿佐美が自分を悠太と近づけたのかを。
「はぁ、しょうがない、来るまで待ってるしか・・ないな。」
(あの人は、振り向かせたいじゃなかったの・・・?彼を・・・。なのに、なんで・・・)
「愛華?」
(何で私と近づけたの・・?)
「おーい?」
しかし、思考の方に意識を集中させている愛華が悠太に気づくはずもなく。