振り向けお前っ!14話〜揺らぐオモイ〜 -6
「よし、お兄ちゃんが手本をみせてやる。」
と声をかけた。
「え?お兄ちゃんヨーヨー釣りうまいの?」
「おう。」
「あ、あの悠太君?」
「ほら愛華も、見てろって。」
そう言うと、一番大きいものに目をつけた。
「あれとかよさそうだな。」
「えー、お兄ちゃん、あれさっきから狙ってるけど、重くてとれないよ?」
「任せとけ。」
そう言って微笑むと思ったらいきなり真剣な顔つきになり。
「よっ。」
一瞬で釣り上げてしまった。
「ほら取れた。」
「うわー凄い、すごーい。」
「さて、コツ教えるから愛華もやってみなよ。」
と言うことで、愛華も挑戦することになった。
悠太が横で、愛華に向ってアドバイスを送る。
「できるだけ紙の部分は水で濡らさないように、そう。」
アドバイス通りにやりながら、やっていくと輪の部分に引っ掛かる。
「引っ掛かったら、サッと引く。」
「・・・釣れた。」
「うわーお姉ちゃんも凄い!お兄ちゃん僕も僕も。」
「よし、教えてやるぞ。」
そして、悠太は子供の方へ向かっていく。
「そう、そうやって、ヒョイって引くんだ。ずっと持ったままだと重さで切れちゃうから。」
そして、その子も釣れた。
「やったー。ありがとうお兄ちゃん。」
「どういたしまして。」
そう言うとその子は見守っていた親の方に向かっていく。
そして、嬉しそうにしながら、家族でどっかへ向かっていった。
「ふふっ、意外ですね。」
「へ?」
「いや、悠太君にこんな特技があったなんてね。」
「特技って言うか自然に身についた。」
「へぇ、そうなんですか。」
「あぁ、そりゃもう、子供のころ、阿佐美が毎年欲しがって、なぜか俺がやらなくてはいけなかったからな。」
「え?阿佐美さんがですか?」