振り向けお前っ!14話〜揺らぐオモイ〜 -5
「はい。」
1つの焼きそばを手渡す、
「ありがとうございます。」
礼を行った途端、悠太が顔を覗き込んできた。
「ん?顔赤いけどどうした?」
「な、なんでもないです!」
愛華が珍しく声を上げたので、悠太はそれ以上追及できなかった。
このとき愛華は悠太を意識しまくっていた。
なので、今食べている焼きそばの味なんて、わからなかった。
「どう?おいしかった?」
食べ終わってから聞かれたが、覚えていないので、どう答えようか困ったが。
「は、はい。」
一応おいしいってことにしておき、味は来年確かめようと思った。
その後いろいろな屋台を回った。
射的、お面や、綿菓子、くじ引き、などなど
最初は、子供じゃあるまいしと思っていた悠太だったが、
意外と楽しんでいた、相手が・・・愛華だったのもあるだろう。
時間もだいぶ過ぎて暗くなり始めた。
そして今ヨーヨー釣りのところで止まっていた。
というのも愛華がヨーヨー釣りをやっている子供をじっと見ていたので、
「やってく?」
と声をかけたところだった。
「え、え?あ、いや!別に、いいですよ。」
そう言いながらも、じっとその子を応援するかのように見ている。
その光景を見ていた悠太は、スッと店の人の方まで向かって言って。
「おっちゃん、2人分。」
と言った。
「はいよ。」
そして、紙の先に釣り針のついたものをもらい
愛華に渡す。
「ほら。」
「いや、私は・・。」
「いーからいーから。」
そうして、ヨーヨーの浮かんでいるプールの近くでしゃがむと。
ヨーヨー釣りに奮闘中の子供に向かって。