紙ヒコーキ-2
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「じゃあ今日の授業はここまで。金沢と樋浦は放課後ちゃんと教室に居ろよー」
「はーい…」
「廣瀬ー!災難だったねぇ」
「優花ぁ〜…」
帰りのホームルームが終わったと同時に、半泣き状態の私の所に、友達の優花がやってきた。
優花は私のいちばんの親友で、友達の私でも見惚れちゃう位とびっきりの美人だ。
でも、それを全然鼻にかけていなくて、私は優花のそんな所が好き。
「でもよかったじゃん。放課後は樋浦と二人きりだね♪」
「…うん」
…そうなんです。私は実は隣の席の樋浦裕介が好き。
彼は、多分私のコトからかって面白がってるだけだし、カッコイイからすごくモテる。
最初は、あんなヤツ絶対好きにならない!って思ってたんだけど…、授業中からかわれながらも彼のいろんな表情を見てるうちに好きになっちゃって…。
だから今日の彼との居残りは、かなりうれしかったりする。
「せっかくの二人きりなんだし告っちゃえばぁ〜?」
優花がニヤニヤと笑いながら私に言う。
「なっ…!無理に決まってんじゃんっっ!」
優花の言葉に真っ赤になってしまう私。
「ま、無理にとは言わないけどさっ。まぁ頑張りなよ〜?応援してるからさ。じゃああたしは先に帰るね」
「ありがと、優花」
笑顔で手を振り帰って行く優花に、私も笑顔で手を振り返す。
教室に残っている人がほとんど帰ってしまった頃、担任の木村が教室にやってきた。
「おー。ちゃんと二人とも残ってたかー!まぁ残ってなかったら単位やらねぇつもりだったけどな。あっはっは!」
…おい。このクソ担任がっっ!
心の中で、そう毒づいていると、木村が大量のプリントの山を私たちの前に置いた。
「この資料をまとめておいてくれ。まぁ今週中には終わるだろ」
「今日だけじゃねぇのかよ!?」
樋浦くんが木村に向かって言うと、
「お前ら二人それぞれ居眠り、携帯の常習犯だろうが。今週それをやるだけで今までのがチャラになるんだから安いもんだろ?」
「うっ……」
「ま、頑張れよ。戸締まりはよろしくな〜」
そう言うと、木村は職員室に帰って行った。
私が口を挟む暇もなく行われている彼と木村のやりとりに、ただただ私は呆然としていた。