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想い人
【青春 恋愛小説】

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想い人-2

「ねぇ、健太って彼女つくらないの?」
 私が真剣な顔で聞いたから、健太は不思議そうな顔をしてた。
「だって、うちらの学年の椎名さんにも告白されたんでしょ?あんなかわいい子と付き合わないのって、もったいないって思われてるんじゃない?」
 布団から顔を半分出したまま、私はそう聞いた。
「…そんなのは俺の勝手だ。人にどうこう言われる筋合は無いさ」
「それに気になるよ。健太が誰と付き合うのかって。幼馴染みとしてさ」
「…本当に?」
 健太の口調が急に変わる。
「本当に幼馴染みとしてそう思ってるの?」
「う、うん…」
 本当は幼馴染みというより、一人の女の子としてそう思ってるのに…言えなかった。
「残念だ…一人の女として俺のこと気にしててくれたら嬉しかったのに…」
 健太が寂しそうにそう言うのを聞いて、私はベッドから飛び起きた。
「健太、それってどういう…?」
「…このニブチン」
「に、ニブ…!!」
 私が怒って健太に向かって叫ぼうとした直前に、私は健太の腕に包まれた。
「俺が花梨のこと好きだって、まだ気付かない?」
 突然のことに、私の耳までかぁっと赤くなるのが自分でもわかる。
「で、でも、女の子は誰がいいとかあんまり考えないって…」
「だって、俺は花梨のことしか見てないから。それ以外の女なんて、俺は意識してないんだよ」
 恥ずかしそうに言う健太を見ていると、私の目から涙が溢れてきた。
「辛かったんだから…」
「え?」
「健太が昼休みにあんなこと言うから…私辛くなって…」
「あんなこと?…って、あぁ俺が誰と付き合うとか、その話か?」
 私は無言で頷く。
「聞かれてたか…それで早退したんだな?ったく…」
 健太はそっと私の頭を撫でてくれた。健太の手の温もりが私の心まで温めてくれている気がする。
「見舞いに来て良かったぜ……ごめんな、お前に伝えるの遅くなっちまって。もっと早く伝えればよかったのにな…」
「…いいよ。言ってくれたんだもん」
「確かに椎名にも告られたし、他にも何人ものやつに告られたけど、俺は昔っから花梨のことしか想ってないから…どの女がいいとか考えないのはそういうことだよ」
 健太の顔が赤くなっている。多分、私の顔はもっと赤くなっているんだろうな…。
「だからさ…返事くんねぇか?」
「返事って…」
「だから…返事は返事だよ!聞き返すな!」
 恥ずかしさの限界が近くなると縮こまる健太の癖。私だけが知っている昔からのその癖を見て、私は一段と強まった気持ちを私の想い人に告げた。
「私も健太が前から大好きだったんだよ。ずっと付き合っていこうね?」

END


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