秘密〜恋愛観〜-2
「向こうも承知の上で付き合ってるんだから、何の問題もないでしょ?」
「彼女さんに悪いとは思わないんですか?」
「浮気される方が悪い」
「浮気する前に別れれば…!」
「まぁまぁ、えみちゃんの腹立たしい気持ちもわかるけど、陸には陸の恋愛論があるんだ。
納得出来ないだろうけど、こういう考え方をするヤツもいるんだなって思ってやって?」
まぁ先輩が止めに入ったとこで、昼休みが終わった。
部室から短大棟へ戻りながら
「陸先輩があんな人だとは思わなかった!!」
えみはまだ怒りが納まっていなかった。
「ね?、なんかびっくり…」
私は半ば放心状態。
浮気することに対して罪悪感がないなんて…
彼女さんが可哀想…
私がそんなことを考えていると
「私ね…」
えみが元気なく話出した。
「浮気されたことがあるの」
「!?」
「すっごいショックだった…。
チョー泣いて怒ったら『浮気されるお前が悪い!』って逆ギレされて…
その時のこと思い出して色々言っちゃった。
雰囲気悪くしたよね?
ごめんね」
そう謝ったえみの目は、赤くうるんでいた。
「ううん。
あそこでえみが言ってなかったら私が言ってた。
やっぱ陸先輩おかしいよ!」
私が力強くそう言うと
「ありがとう」
えみは軽く微笑んだ。
私はその顔を見て胸が痛んだ。
『誰も傷付かない恋なんてない』
これは高校の時の友達が言った言葉。
ホントにその通りだなぁって思う。
でも、誰しも、初めから傷付こうと思って恋をするわけじゃない。
傷付かない恋ってないのかな?
「あ?あ、私男見る目ないのかな?」
えみは苦笑しながら言った。
「『私なら陸先輩のハートを掴み続けられる!』ぐらいの自信があれば良かったんだけど…
諦めるかぁ…」
「えみに陸先輩みたいな人はもったいない!
えみにはもっといい人がいるよ!!」
「ありがとう」
そう言って笑ったえみの顔は、私が好きな、ふんわりした笑顔だった。
「でも、陸先輩かっこいいんだよね?」
悔しそうに言うえみ。