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胡桃の殻を割るように
【片思い 恋愛小説】

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胡桃の殻を割るように-5

自慢のお姉ちゃん、だ。

今も、昔も、ずっと自慢の、お姉ちゃん。

なんでもできて、優しくて綺麗な、ピアノが特別上手くて、算盤も段とって、勉強も出来て私にいつも教えてくれる、今ではお仕事だってできるすごいお姉ちゃん……でも相変わらず優しい雰囲気がある可愛い女の人。

年が離れてるせいか、お姉ちゃんは私を特別可愛がってくれたし、私もお姉ちゃんが大好きで、大好きで、だから思い知る。



私じゃ、敵わないって。

私じゃ、叶わないって。

“かなわない”恋なんだって。



だから私の恋は、胡桃の殻みたいに……固く固く色んなもので覆われている。
割るときは、中身も砕けて、粉々の、ぐっしゃぐしゃになる恋なんだ。………絶対。



もう、もう、わかってる。


それでも幼馴染みのアズは、たくさんの恋を翔に運んで、伝えて、胡桃の殻を割ろうとしてるのに。

それでも翔の好きな桃さんの妹のアズは、平気なフリして、胡桃の殻を割ろうとしてるのに。


………絶対、……割れてくれない。


翔への、想いは、割れてくれない。



恋にも、リセットが、あれば……よかった。


胡桃の殻を割るように、胡桃割り人形だったらよかったのかな。

何も感じない、人形だったらよかったのかな。



ごめんなさい。

ごめんなさい。


たくさんの気持ちを踏みにじって私はそれでもまだ胡桃を割れていない。


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