Double Lover(1)-3
『も…もしかして俺のこと知らない?』
「………え?あ、はい…。」
『そそそっか。ならいいや。はははは。』
よかったような、悲しいような気分になった。
こんな大人しそうな可愛い子が、いくら有名でも俺らのようなバンドを知るわけないか。
『そういえば歳はいくつ?』
「…18だと思います。」
ブハッ
『ゲホッゲホッ じゅ18ぃ!?』
俺と5つも違うじゃん。
そりゃあ俺は年下好きだけど…。
ついに俺もロリコンになってしまったのか。
ってそういうつもりじゃねえし!
てかもう俺も歳なんだなあ。
あーどうしよう。
「あのぉ……」
一人で頭を抱え込んでいる俺に申し訳なさそうに美鳥が聞いてきた。
「今日だけでもいいんで、泊めてくれませんか?」
とりあえず他にも部屋は
あるし、今日はここに美鳥は泊まるという事になった。
明日は午前中だけオフだ。
断る理由もないし、俺が断るわけがない。
『あ、今俺ん家ビールしかないからタバコ買いに行くついでに何か買ってくるわ。歯ブラシとかもいるっしょ?自由にしてていいから待ってて。』
「あ…すいません。じゃあお願いします。」
『じゃあ行ってくるわ。』
「いっ……いってらっしゃい…。」
―バタン
な、何あの子?!
いってらっしゃいって!
てか照れてんじゃん!
あ?可愛すぎるし!
普段近くでも面倒臭く感じるコンビニの道のりさえ、柄にもなくルンルンで楽しく感じてしまった。
とりあえずジュースとタバコ、自分のつまみ用のお菓子と美烏のために歯ブラシを買って宝は家路に急いだ。