彼氏(仮)──約束-2
コイツはろくに掃除当番も全うせず、学校行事もテキトーに流す。
短めの髪は茶色く染まって、しかもツンツンに逆立ってて、ピアスこそ空けてないけれど、先生からは常に目をつけられていた。
学級委員の私としても、一年目の頃は更正を呼び掛けた。
でもムリ。
二年目の今年は無視を決め込んでいた。
その矢先、アイツがこの賭け話を持ってきたんだ。
私が勝ったら更正するというので、渋々だったけど、のってしまった。
自信はあった。
この高校は、定期試験の成績が良かった上位何人かを、学年別に貼り出す仕組みになっていて、私も何度か載ったことがある
でも、コイツの名前は見たことはない。
だから……絶対勝てると思ってたのに!
「約束、守ってくれるよね?」
この問いに、肩を震わせながらも頷くことしかできなかった。
「一つお願いがあるの」
「何?」
「期末で私が勝ったら、速攻別れて!」
今度は絶対勝つ!
私は固く決意したけど、コイツはニヤリと口角を上げて
「勝てたら、な」
と、私の不安を煽った。