『群青の街・第一話殺し屋ハルと少女リリア』-4
気が付いたら、リリアを一緒に連れて行くための言い訳を一生懸命考えている自分がいる。
ハルは小さく苦笑して、不安そうに自分を見上げるリリアの方へ向き直った。
「今から言うこと、約束できるか?」
「うん!絶対する!」
ハルが妥協してくれたと分かったのか、リリアは途端に明るい表情になった。
「まずは、静かにしてること。必要以上に声は出すな。」
「わかった。」
「オレから離れないこと。」
「しないよ。」
「あと、『本番』には、絶対についてくるな。いいな。」
「わかった、約束する。」
リリアの真剣な表情に、ハルは安心したように微笑んだ。
「ハル隊長についてゆきますっ!」
リリアは気合いを入れるように、敬礼のポーズをしてみせた。そのお茶目で可愛らしい反応に、ハルはますます目を細めた。
「じゃあ行くぞ。」
ハルのその声を合図に、二人は寄り添って、闇の中へと消えて行った。
ーーーーーーふと、何か変な感じがして、目を開けた。
自分は、眠ってしまったようだった。
いつもの天井、いつものベッド、いつもの部屋。
特に何も変わっていない。
何か、音が聞こえたような気がしたけれど、眠っていたから勘違いだろうか。
まだ、夜は明けていないようだ。
月が、窓から顔を覗かせている。