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2人だけの通学路
【フェチ/マニア 官能小説】

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2人だけの通学路-1

 私とミユキは幼なじみ、家にいるとき以外は一緒だった。ミユキは体は小さいくせにとにかくお転婆で、いつも私をイジメっ子から守ってくれる。一年中短い半ズボンをはいて、近所の男の子を引き連れてはいろんな悪戯を考えている子だった。
 学校では当然のように、担任の先生に目をつけられてクラスの叱られ役になった。4年生からの担任は中年の女の先生だったが、けんかをしたり悪さをした男の子を教室の前の黒板のところに並べて、バケツの蓋や竹箒で一人ずつお尻を叩く。その中に、女の子としてはいつもミユキだけが参加している。先生も手加減なしだった。バシッ!
「痛ぇ!」
「ミユキのお尻からはいつも埃がいっぱい出るなあ。教室が煙るじゃないの」
 みんながどっと笑った。私も小さく笑ってミユキの方を見た。ミユキは痛そうに顔を歪めて、右の手のひらでお尻をさすりながら自分の席にもどっていく。いつもながらまったく悪びれたところはない。小学生も高学年になると、教室の前で先生にお尻をひっぱたかれるのは、女の子にとっていちばん恥ずかしいお仕置きのはずなのに。
「ビンタはイヤだけど。お尻なら、まあいいじゃん」
 ミユキはそういう女の子だった。

 ミユキとずっとつきあっているうちに、引っ込み思案だった私の性格もだんだんと変わってきた。6年生になったいまでは、先生もクラスの子も、私がミユキのいちばんの悪戯仲間だと考えるようになり始めた。事実、悪戯の楽しさを私はミユキに教わった。
 ある秋の日。通学路にある神社の境内にミユキと私はいた。もう陽はとっくに落ちている。ふとミユキの方を見ると、何やら賽銭箱を覗き込んでいる。
「ミユキ、何やってるの?」
 ミユキが悪戯っぽく笑って言う。
「この百円玉、もらっちゃおうか」
「何言ってんのよ、ミユキ。泥棒じゃん」
「冗談だよ。でも手がどこまで入るかと思ってさ」
 ミユキが賽銭箱の隙間に手を突っ込み始めた。
「ユリもやってみなよ。どっちが奥まで手が入るかな」
 私は胸がドキドキした。でもこのドキドキ感が悪戯のスリルなのだ。私はミユキにそのスリルの楽しさを、すっかり教え込まれてしまっていたのだ。
「やっぱユリの方が腕が細くて長いんだね。あたしより奥まで手が届くね」
「そうかなあ」
 その時、神主さんの声がした。
「君たち、そこで何やってるんだ?」
 落ち着いた静かな声だった。しかし、どう考えてもヤバすぎる状況である。
「あ、すみません。あたしたち、どこまで手が伸びるか、2人で競争してたんです」
 何言ってんのよ、ミユキは! 2人とも慌てて賽銭箱から手を抜いた。神主さんは怒らなかった。
「2人ともこの先の小学校の子だね。もう遅いから親御さんも心配してるだろ。私がおうちに電話しよう」
 私もミユキも名前と連絡先を言わされた。私たちの目の前で、神主さんは電話をかけ始めた。話の内容はよく聞き取れなかったが、神主さんは穏やかな表情をしていた。
「さあもう早く、2人とも帰りなさい。ご両親、心配してるぞ」
「はーい」

「ミユキ、帰ったらヤバいことになるね」
「今夜はお尻百叩きかも」
 ミユキのお母さんは厳しかったし、ミユキと同じで開けっぴろげな性格だったので、娘によくお尻叩きのお仕置きをしていることを私の母にも話していた。私の母は優しかったけど、今度ばかりはとても許してはもらえそうにない。私にはどんなお仕置きが待っているのだろう。


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