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2人だけの通学路
【フェチ/マニア 官能小説】

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2人だけの通学路-4

 ある日の放課後、私はミユキに呼ばれた。
「ねえ、ユリ」
「何よ、もったいぶって」
「キスしたことある?」
「えっ?」
 私もミユキも、次の言葉をしばらく探していた。
「この間の放課後、部活が終わってからさあ。M君と一緒に帰ったんだよ」
 ミユキがM君とつきあい始めていたことは私も知っていた。
「そしたら塀の陰のところで、いきなりキスされそうになって」
「ミユキ、どうしたの?」
「ひっぱたいちゃった」
「ああ、ミユキらしいわ」
「でもなんか、後味が悪くてさ。次の日、M君に謝ろうかと思って」
「へえー、それで?」
「そしたらさ、あたし、M君にやり返されちゃった」
「え、ひっぱたかれたの? 最低」
「違うよ、ビンタじゃなくてさ」
「ビンタじゃない? じゃ、どこをひっぱたかれたの?」
 ミユキがいかにも恥ずかしそうに言った。
「お、し、り」
「何それ」
「でもあたし、それで何だか気が楽になったんだよ」
 ミユキが真顔で言う。
「ふーん、で、キスしたの?」
「それがさ、なんか冴えないんだよね。いきなり歯と歯がぶつかってカチみたいな音がして」
 私は正直悔しかった。あんなにみんなに男の子扱いされてたミユキに、キスで先を越されるなんて。でも考えてみれば、ミユキは顔も可愛いし、小柄でショートパンツが似合って、ちょっとつっぱってるけどそれもまたいいと思う男の子がいても不思議じゃなかった。

 

 私たちは3年生になった。私とミユキは同じクラスのままで、M君は別のクラスに。そしてあの怖ーい理科の先生が学年主任になり、私たちの進路指導に当たることになった。私とミユキの家にも早速やってくる。親子面談をするのだ。うちは私と母と先生の3人だ。
「ユリさんは、もうちょっと頑張らないと志望校に入れませんよ」
「そうなんですか?」
「いや、もともとできるお子さんなんです」
「努力が足りないということですか? 先生、どうかもっと厳しく躾をお願いします」
「学校でも厳しく指導していますが、ご家庭の方でも」
「はい。ユリ、先生にいつもご迷惑おかけしてるんでしょ? 何か言いなさい」
 私は母を見て、それから先生を見た。
「先生、すみません」
 私はペコリと頭を下げた。
「ユリ、言うことはそれだけ?」
 母が私を睨むようにして言う。
「あの、先生、もっと厳しくしつけてください」
 私はそう言った。というか、言わされた。
「わかった。先生もこれからはビシビシやるぞ」
 いままでのはビシビシじゃなかったの?
「それがユリのためなのよ。よかったわね」
 母は嬉しそうにそう言い、先生は満足そうにして帰っていった。ミユキの家でもだいたい同じだったみたいだ。お母さんはもっと厳しい躾をと言い、先生がうなずき、ミユキはもっと頑張りますと言わされた。 

「ミユキ、ユリ、2人とも前に出ろ!」
「は、はい。先生! またお仕置きですか?」
 ミユキが言った。
「お前たち、何だ、このノートは。真っ白じゃないか! 宿題はどうした? お母さんとの約束は覚えてるな」
「は、はい。躾はもっと厳しく、ですよね」
 私はそう言うと、前の黒板に両手をついて前屈みの姿勢をとった。隣を見ると、ミユキがちょっとふて腐れたようにして、私より少し遅れて黒板に両手をついた。先生がミユキの後ろに立った。1メートルの定規を手にして、素振りの真似をしているみたいだ。なかなか叩かれないミユキがついに焦れてフライングした。
「痛ぇ!」
 そう言って、叩かれたときのリアクションをしてみせた。
「まだ叩いてないぞ」
 先生の言葉に教室中がどっと沸いた。また仕切り直しだ。隣でずっとお尻を突き出して立っている私の身にもなってよ、ミユキ。いつまでこんな格好してなきゃいけないの。でもなんだか、私もミユキの性格が移っちゃったよ。ちょっと痛いけど、まいいか、お尻なら。ねえ、ミユキ?


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