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『滝くんの愛読書』
【学園物 官能小説】

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『滝くんの愛読書』-8

数日後ー

「滝君…そろそろ帰らない?」
「なんで?まだ全然できてないよ。早くそれ解いて」

滝君はそういうと自分の赤チャートに目を戻した。私は白…。滝君の提案で全て基本からやり直すことになり、私は今学校が終わると毎日図書館が閉まる九時まで滝君と勉強している。こんなに長時間毎日数学をやるなんて、普段の私ならとっくに発狂してるはずだ。

「もっと集中して。これ昨日やったよ?もう忘れたの?」
「い、いえ!…えーっと…こうかな?」
「θの範囲忘れてるよ」
「すみません…じゃあ、こう?」
「正解!昨日よりできるようになったね」

でも正解した時に見せてくれる滝君の笑顔にドキドキして、褒めてもらえるのがうれしくて、私は自分でも不思議なくらい頑張れた。

滝君は本当に守りすぎなくらい、約束を守ってくれた。そして私は努力の末、一ヶ月後の期末テストで今まで見たこともないような点数をとることができたのだった。

「滝君!みて!!」

私はテストが返却された授業の後すぐに教室を飛び出し、滝君のいる隣りのクラスに答案を握り締めて走った。

「びっくりした…どうしたの?」

窓際の席に駆け寄ると、滝君が読んでいた文庫本を閉じて私を見る。今日の本は普通の小説みたいだ。

「この点数!信じられない…泣きそうだよ」

赤ペンで記された数字は88。それを見て滝君もうれしそうに笑ってくれた。

「ちょっとこゆき!何騒いでんの?」

後ろから去年同じクラスだったみっちゃんが顔を覗かせる。

「すごい点数とったの!滝君のおかげで!」

私はみっちゃんの目の前に答案を掲げた。それをみてみっちゃんが目を丸くする。

「ほんとだ…あんたいつもよくても30点代だったのに…いいな?。ねぇ滝君、私にも教えてよ」

みっちゃんが滝君にそういうのを聞いて思わず…

「だ、だめっ!!滝君は私のなんだから!」

と言ってしまった。

「あれ?二人付き合ってたの?」
「え?いや…その…」

(やばい…勢いで告白まがいのことしちゃった…もっときちんと言うつもりだったのにどうしよう…)

混乱して何も言えずに固まっていたその時ー
ガタンッ!
急に滝君が音を立てて立ち上がった。

「佐々山こゆきさん!」
「は、はい!」

フルネームで呼ばれて思わず『気をつけ』の姿勢をとってしまう。

「好きです。俺と、付き合って下さい」
「え…?」

滝君のいきなりの告白にざわついていた教室が一気に静まり返る。

「俺と付き合って下さい」

滝君はそんな周囲の雰囲気など意にも介さず、私の目を見つめて同じセリフをもう一度繰り返した。私の返事はもちろん…

「…はい。私も滝君が好きです」

周囲からどよめきと拍手が起こった。
目の前にはうれしそうな滝君の笑顔がある。
みっちゃんにバシバシ肩をたたかれても全然痛くなくて…何だか体が2センチくらい浮いてるみたいだった。

「これからもよろしく」

滝君がそう言って差し出した右手に捕まるみたいに、私はその手をそっと握り返した。


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