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エリザベス・悲劇の人形たち
【ファンタジー その他小説】

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エリザベスシリーズ・オマケB-4

「オッピャーイッ!
 オッピャーイッ!」

 キディは泣きながら、足をバタバタさせる。

「うるさい!」と、エリザベーラはキディを蹴飛ばした!

 キディは遠くへ飛んで、中庭のベンチに体を打ちつけた。

「ウィアンッ! ウィアンッ! ウィアンッ!」

 これは痛い!

 キディは泣きながら、七転八倒する!

「この子たちを抱いてて頂戴」

 側近の女性人形を呼んだエリザベーラは、双子を彼女に預けた。

 ハリスもソフィーナも、母乳を腹一杯飲んでスヤスヤと眠っている。

 エリザベーラはキディの所へ歩み寄って抱き上げた。

 キディの頬にキスすると、城壁の外へポーンと放り投げた。

「中へ入るわ」

 そう言って、エリザベーラは側近と一緒にパーティー会場へ向かった。



 こうして、キディは親に完全に捨てられちまったんだ。

 可哀想に…

 ずっと傍に付いていたママから引き離されてしまったんだからな。

 相当、ショックを受けたに違いねえ。

 だがコレでイイんだ。

 無能な母親の元を離れて成長するのには、丁度イイ機会なんだからよ。

 その証拠に…

 キディの体は身長が伸びて約50センチに成長したんだ。

 言葉づかいや発音がハッキリして来たし、自ら物事を考えるようになった。

 キディはこの後、警察に保護されてニュラードの施設に収容された。

 施設にはミセス・マルセルが来ていた。

 人形たちの事で、ソーサラスに話し合いに来ていたのだ。

 マルセルは人形たちの事が忘れられず、その後の行方がとても気になっていたらしい。

 話し合いの結果…

 母親エリザべスはエリザベーラ王妃として、そのまま国に残る。

 だからと言って…

 昔みたいに何もせず、グータラな生活を送るだけの怠け者の支配者では許されない。

 今までの徹底した反省も含めて、王妃としての長く厳しい修行と自己鍛錬が彼女を待っているとの事だ。


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