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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 6-8

***

帰宅途中、いろいろなことを考えた。

大半は今までの苦しみだったが、憂との大学生活も思い浮かべていた。

段々とマンションが見えてくる。

家に帰ったら、真っ先に憂に会いに行こう。


そして…


「聖くん」

「……!?」


暗がりの向こうに聞き慣れた声が聞こえた。

たまに耳にするひどく冷たい声だ。


ジャリ、とアスファルトを蹴る音が聞こえたと思った瞬間、その姿を確認した。

紛れもなく佐山だ。

「…っ」
その手に握られていたのは…刃物だった。
いくらなんでも恐怖を覚える。


包丁なのか…ナイフなのか…


そうか、タクシーか何かで先回りしたんだな。


さっきの、殺す、という言葉は憂に対してではなく俺だったのか。


混乱した頭からは瞬時にいろいろな考えが出てくる。

そんな間も佐山は走って向かってくる。

とにかく回避しなくてはいけない。

憂が待っているんだ。


「聖くん、愛してるよ」
「!」

目前でそう呟いた佐山は泣いていた。


その泣き顔を…

つい俺は凝視してしまった…


「……」



かわしたのか…?


佐山は後ろで派手な音を立てて転んだ。

「……!!」


熱い。
腹部がドクンドクンと脈打つ。


とっさに腹に手をやり確認する。


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