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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 6-7

***

「どうしたの?突然戻ってきて」
アパートの扉を開くと、佐山は無表情でそう言った。

普段は寝ている時間だろうが、電話で前もってアパートに行くことを伝えたため、まだ佐山は起きていた。

ただ、言葉とは裏腹に声からはなんの疑いもない。


逆に全てわかっているかのようだ。


「怜…いや、佐山」
「………」
「俺はお前と別れる」
一番怖くて言えなかった言葉がすんなりと出てきた。

自分の決心が本物なのだと悟る。

「どういうこと?」
「もう限界だ」
「…限界って?私のこと好きだから一緒にいるんじゃないの?」
その言葉につい呆れてしまう。
「…お前、それは本気で言っているのか?」
「ええ」
即答。相変わらず理解できない。

「…これまでのことは忘れる。だからこれだけ伝えにきた」
「……柊さんに唆されたの?」
「俺は最初から憂を守るためにお前と恋愛ごっこをやってきたんだ。そんなことはない」
「いいの?柊さんがどんな目にあっても」
「憂は必ず俺が守る」
「……」
そこまで言うと、佐山は黙った。

何を考えているかは全く読めない。


「……殺すよ?」


突然発した言葉。そのあまりの冷ややかな声質に戦慄を覚えたが、もう関係ない。


俺はこれ以上なにも言わず、佐山のもとから立ち去った。


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