遠恋ーえんれんー泪side2-3
「うそ‥財布だけない‥」
「大丈夫‥ですか‥?」
呆然とする僕に店員さんが心配そうに聞いてくれた。
「あっ‥すみません!あの‥お財布忘れて来ちゃったみたいで‥ホントすみません、これ戻しておいてもらえますか?」
しょうがない。
お金がないんじゃ傘は買えないし。
走って老人ホームまで行くしかないか。
「あの。お金今度で良いですよ?」
店員さん!
君は神様か!
しかし甘えて良いのだろうか‥
むむむ‥
「お客様信じてますから。沖縄人悪い人いませんもん。」
お嬢さん!僕は沖縄人じゃないよ!
けど。
心は沖縄人だから。
「ありがと‥ございます。」
はい‥借りちゃいました。
必ずお金返しに来ますからね!
ホントありがとう店員さん。
よいしょっ‥と荷物を再び抱え、雨の道を歩きだす。
「今何時だと思ってるの?」
「‥すみません。」
「まぁいいわ。泪のことだからなにか事情があったんでしょ。早く着替えてらっしゃい。そんなにビチョ濡れで‥風邪ひかないでよ?」
「‥はい。本当にすみませんでした。」
僕は遅刻をしてしまいました。
コンビニで傘を借りた後、前から女の子がビチョビチョになって歩いてるのをみかけて‥
傘あげちゃいました。
んで、また荷物を必死で庇いながら歩いて来たから時間がかかってしまい、遅刻。
けどあそこで女の子を見ぬフリしたら絶対に後悔すると思うから、この結果は仕方ない。
「頑張らなきゃ。」
琉球の民族衣装に着替え、髪の毛もしっかりと縛り直す。
両手には金と銀の舞扇を握りしめ、仲間達とステージに向かう。