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loop
【幼馴染 官能小説】

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loopV-5

その日の前半の講義は、全くもって耳に入らなかった。

崩れかけたバランスを、どうしたら戻すことができるのか、そればかりが頭の中でぐるぐるとうずまいていたからだ。

大学の講堂は、がらんとしたものだった。
4月の内は、みんな真面目に出席していたものの、新しい環境に慣れはじめ、出ないとまずい講義と出ないくとも大丈夫な講義を、きっちりと分けることを覚えたようだ。
祐介も確かこの講義をとっているはずだけれど、おそらく昨日も何かの飲み会に出かけて、今頃はアパートでぐっすり眠っているのだろう。

由紀も探したけれど、朝から姿を見かけなかった。
彼は祐介と常に連んではいるけれど、講義は何かと真面目に出ている方だから今日は珍しい。

ぱらぱらと人が減り始めた講堂をぼんやりと眺めてから、次の講義までの時間を潰すために、あたしの足はカフェに向かっていた。


『カフェでよく見るよ。』


祐介の昨日の言葉があったからかもしれない。
もしかして、と思ったのかもしれない。
あたしはふらふらとカフェに向かい、無意識に髪の長い女の子を探す。

昼前のカフェは、ランチ時の混雑している時と違って人もまばらなので、あたしはしばらくきょろきょろして、すぐに彼女を見つけることができた。

南側の、太陽がまっすぐ差し込むテーブル席に静かに座り、彼女は1人で本を読んでいた。
差し込んだ日差しにブラウンの長い髪がきらきらと反射して、同性のあたしから見ても、綺麗だな、とやっぱり思う。

あたしはミルクティーを手にして、少し離れた場所に腰掛けた。
何をするわけでもないけれど、彼女の事が少し気になったからだ。熱いミルクティーを両手で包み込みながら、ふぅふぅとゆっくり冷ます。

きらきらと明るく反射している髪を見ながら、頭の中で彼女の話をしていた由紀の表情を思い出していた。



由紀はとてもモテる。
見た目もそこそこで、何をやらせても軽々とこなすことができるし、同世代より少し大人びたところや、笑った時のはにかんだ表情、そういった細々としたところの雰囲気が女の子の心に響くらしい。

きゃあきゃあと騒がれるようなタイプではないけれど、心の隅で実はいいな、とみんなが思っているような男の子が由紀だった。

高校生の時から、ぽつぽつと女の子から交際を申し込まれた事もあったみたいだけれど、あたしの知っている限りではのらりくらりと由紀はそれをかわしていたようだった。

由紀と仲のよかったあたしも、彼に好きな人がいるのかなんて女の子たちにたびたび聞かれたけれど、由紀の口からそれらしい話や、別段、女の子のことを聞くことはなかったように思う。
恐らく祐介も同じだったに違いない。

常に三人一緒というわけでもなかったけれど、何かと三人で動く事が多く、秘密らしい秘密などなかった。
男とか女とか、そういう性別を越えたような関係だっただけに、あたしはこのざらざらとした感情にひどく戸惑っていた。


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