テノヒラ-2
ブブブッ
これは携帯のバイブだからね。決して俺から出た悪臭のガスでは‥なんかこの下り前にもあったよね。
From:山田紗雪
Sub:無題
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私も会いたい。
今、行きます。
-----END-----
そのときの俺ときたら、心臓なんかバクバクで急にそわそわしだしちゃって‥
手がなんだかピリピリするんだ。
痺れて麻痺してるとかじゃなくて、いつもこうなる。
彼女のことを想うと手のひらがこう、むず痒くて、心臓が動く度にピリピリする
あぁ─‥
これが恋ってやつなのか‥
彼女を初めて見たときも
初めて声を聞いたときも
初めて手を繋いだときも
この言い様のない痺れが走って、すぐに消えたくなるような、ずっと感じていたくなるような気がする。
これは今だから感じることができるものなのかもしれない。
こうやって彼女に片思いするのは最後だから‥
「千葉くん‥」
彼女が来た。
息を切らして走って
「さっきは‥その‥ごめ」
なんだか、もう衝動が抑えされなかった。
気付けば彼女は腕の中で‥
もし、自分が願っても手に入らないものがあって、諦めた途端に目の前に差し出されたらどうする?
俺はあのときの君の答えが羨ましいかった。
でも今なら同じことが言える。
迷わず君を選んで
二度と離さない‥。
彼女の華奢な肩が震えていて、腕をほどいて覗きこめば泣いていた。
この涙は悲しい涙じゃない