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こうして恋が始まった
【青春 恋愛小説】

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こうして恋が始まった-1

彼氏に振られ、放課後図書室で時間を潰していたあたし井上亜紀は根岸鳴海に突然告白された。


「今日もいるし…。」
〈俺、本気だからね。告白もしたし、覚悟しておいて。〉
告白された日、そう言っていたけど…。
覚悟って、これからは纏わり付くからって意味だったのか?そうか、そうなのか。
「おっはよ!」
もし、彼が犬だったら間違いなく尻尾はぐるぐる回っているだろう。そんな勢いで手を振りこっちに向かって走って来る。

こんな朝があれから2週間続いている。


人間の「慣れ」とは恐ろしい。気付けばこの状況に何も感じなくなっている自分がいる。
「おはよ。毎日朝から元気だねぇ。」
「…分けてあげようか?」
途端に顔が近づいて来る。
「ちょっと、ストップ!何でそんなに近づく必要が…!」
近づく顔を両手で押し戻す。
「ん?口移しで元気を…。」
「分けられてたまるかっ。」
「ちっ、残念。」
心底残念そうな顔をしてるけど
「…場所を弁えてよ。ここはどこ?」
「公道。」
「でしょ?」


「場所、弁えればキスしていいんだな。」
にやり、と悪戯っ子のような笑顔を見せる。
そうきたか…。
頭を抱えながらも並んで学校に向かう。
「おっ、今日も夫婦仲良く通学かぁ?」
途中で、クラスメイトにからかわれる。
「違うから」と否定しようと口を開きかけたが
「ま〜ね〜。」
自分の右側にいる彼がピースなんぞをしながら答えている。
違うじゃん…否定しようよ。
あたしの呟きは彼の満面の笑みに消された。

周りではきっと暗黙の了解でうちらが付き合っていることになっているんだろう。


誤解されてもおかしくない位、一緒にいる。
あたしも、根岸君は友達として嫌いじゃない。むしろ好きだし。
付き合っていないのは、彼自身に問題はない。問題があるのはあたし。
元カレに裏切られた気持ちが強くて、恋愛に関してまだ人を信用出来ないでいる。
だから、根岸君に限らず恋愛対象として人を見られない。臆病なだけなんだけど。
また、裏切られるのが怖くて自分で恋愛感情を封印した…つもりだった。


放課後、いつもは真っ先にあたしの所へ「帰るよ。」と当然のように言いに来るのに今日は違った。


教室のドアの前で女の子と笑顔で話している。
…なんか、面白くない。
…なんか、胸がムカムカする。
…なんか、変だ。
他の人と仲良くしているのを見ていられなくて、ゆっくり帰り支度をしながら目を背ける。

「今日、急に委員会入っちゃったみたいでさ。」
話が終わったのか、気付くと目の前に立っている。
「委員会か。…じゃ、先帰るね。」
まだ、胸がつかえているような感じがする。
「待っててくれたりしないわけ?」
拗ねた顔をしてあたしを見る。
うっ…と一瞬詰まったが、今はこのモヤモヤを何とかしたい。


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